聞香揃
聞香揃
もんこうぞろえ
聞香偈ともいう。
『法華経法師功徳品』鼻根段には、法華経を信じ持つ者が、六根の中特に鼻根の功徳を得る事を説く。
如法修行の持経者は、たとえ菩薩が持つ処の煩悩の汚れのない鼻を得なくとも、鼻根清浄の功徳を得て、香を聞(か)ぐ事により、十界三千の諸法の実相を知る。
そして他の人々に、その事を説くのに記憶に間違がないと説く。
揃とは具足の意である。
『法師功徳品』は、五種法師の果の功徳として、六根清浄の八〇〇、一二〇〇の功徳を説く。
この八〇〇、一二〇〇は四あるいは八の倍数で、四や八の倍数は物が揃う事を表す。
四は前後左右、八は更にその四隅を入れた数で、具足の意味である。
故に経文の「是の功徳を以て六根を荘厳して皆清浄ならしめん」とは、六根の功徳の互に円通し、差別の無い事を表している。
而もその根本は「法華経を持つが故」である。
日蓮聖人は『当体義鈔』に「法華経に同共して信ずる者は妙経の体也不同共の念仏者等は既に仏性法身如来に背くが故に妙経の体に非ず」、「所詮妙法蓮華の当体とは法華経を信ずる日蓮が弟子檀那等の父母所生の肉身是也」(定七五九頁)と述べられた。
如上の鼻根清浄を得た人は、「三千大千世界の上下内外の種々の諸の香を聞(か)ぐ」その中に「曠野險隘の處の師子象虎狼野干水牛等香を聞いで所在を知らん」、「無根(男女の根を有せざるもの)及び非人(鬼畜をいう)を辨えざらんも香を聞いで悉く能く知らん」とあって、自ら飛潜妖怪の所在を知るという。
この経文の義を転用して、薫香をもって毒蛇、野狐らの所在を調べて遠離せしめようとする。
また蛇狐らの妖精はかねがね人の肺腑に著く故に、鼻より香をもってへだたり遠離させる。
薫香には、(1)法席を浄め、(2)病者の臭気を除き、(3)病者の腹中の邪気を払う功能がある。
一般には「香は仏の使なり」、「香は信心の使なり」といわれる。
香の匂が、自らの信心の仏に対する使となり、仏は香を縁として道場に来臨する。
六種供養の一として焚香または焼香がある。
仏天に供え、道場を浄め、亡き人の菩提を弔うために行う。