札守
札守
ふだまもり
場所や人を守護するために、経文や神咒、祈願趣旨等を木や紙に書いて貼り、あるいは所持させるものを札守という。
この風習は古来あり『摩利支天経』に「若し人ありて之れ(咒)を書写し読誦し受持する者は、若しは髻中に着け若しは衣中に着けて身に随えて行かば、一切の諸悪悉く皆退散して敢て當るものなし」と、また『大般若経』一〇三巻には、「怖畏・怨家・悪獣・災横・厭祷・疾疫毒薬咒等には、応に般若波羅蜜多の大神王を書くべし。
多少の分に随って、香嚢に盛り貯へ、宝篋の中に置き、恒に身に随逐し、恭敬供養せば、諸の怖畏の事、皆自ら消滅す」とある。
日蓮聖人は当然法華経の要文を書いて、求めに応じて札守を与えられており、韮山の江川吉久に与えられた棟札は、今も同家に伝わり、七〇〇年間火災なしという(『上野殿御書』)。
その札守に記された諷詠「霜柱氷の梁に雪のけたさきゆく水に火こそ消えけり」を鎮火の札守として珍重する向きもある。
また四条金吾に与えた御返事にも「又まほりまいらせ候(略)」(定一三〇一頁)とあり、その妻日眼女が三七の厄年の時に「御守書きてまいらせ候」(定一六二三頁)とあり、その他、安産・除厄・除病・招福のために授けられたことが、各祖伝の中にも数々伝えられている。
例えば谷中瑞輪寺に残る安産祈念の「しゃもじ守」などもその一つである。
その後、日蓮門下の各門流、特に修法の各流派が発展するにつれて、札守の形態、書式も複雑多岐に別れて現代に至っている。
その殆どは紙製で、昔は験師が自ら認め花押したものであるが、現今は印刷が多い。
中でも黒札(黒地に文字を白く抜く)は鬼魔を退散させる特効ありともいう。
水神札なども古来水神明王を祀るため、あるいは水神の祟りを鎮めるために書き祀ったもので、種々の相伝があり、加行所でも水行所の中央に安置されている。
また日蓮宗系札守の上部を剣形にするいわれとしては、降魔調伏の両刃の剣を型どり、一字仏頂明王印の剣形、如来剣印法の剣形と同意であるという。
《『法華験家訓蒙』、『修験故事便覧』、『祈祷指南書』、『四条金吾殿御返事』、『日眼女釈迦仏供養事』》