顕教
顕教
けんぎょう
仏が衆生に対して顕了に説かれた教。
教説文字によって明瞭に説示された教。
密教に対する。
真言宗(東密)では顕密二教判を立て、顕教は応身釈迦・報身舎那の説、密教は法身大日如来の説であるとし、顕教に対して密教がすぐれているとする(顕密二教論)。
これに対し天台宗(台密)では、顕教は三乗教にて真俗不融教、密教は一乗教にて真俗円融教であるとし、秘密教に唯理秘密教(法華経)、事理倶密教(真言の経)を立て理同事勝説をもって事密為勝とする。
日蓮聖人は日本天台宗の開祖伝教大師最澄を「日本顕密の元祖」(『開目抄』定五七九頁)とし、最澄の本意は、大日経を天台法華宗の傍依経として位置づけ、真言宗を法華宗の内に入れたと見なした。
それにもかかわらず、天台宗の末学は元祖の真意に迷い、慈覚大使円仁・智証大師円珍以来叡山を密教化していった。
円仁・円珍の理同事勝説は善無畏・金剛智・不空の説によるもので、理において同、事相において大日経勝とする大日勝法華劣の立義は仏法を亡ぼし人心を誑惑する堕地獄の法門である。
日蓮聖人は伝教大師最澄の正統を継承する純粋法華の立場から円仁・円珍を批判し、両師を最澄を捨て空海に走った真言の徒であるとした。
《『遺文辞典』教学篇「顕教」の項、『日蓮辞典』「顕教」の項》