諸法実相鈔(一二二)
諸法実相鈔(一二二)
しょほうじっそうしょう
一篇、日蓮聖人著。
文永一〇年(一二七三)五月一七日述作。
五二歳。
佐渡一谷での述作で、最蓮房宛の書と伝えられるが、真蹟、古写本とも現存しない。
本書の題号は法華経方便品の「諸法実相」について詳細な解釈がなされていることから、後人によって名づけられたものである。
内容は、まず冒頭に方便品の「諸法実相」の文を挙げてその文意を解説して、十界の依報・正報の当体は妙法蓮華経のすがたであり、諸法実相としての妙法五字の法体は、本門寿量品の事の一念三千の法門であると論ずる。
そしてこの法体の妙法五字は正法・像法の時には付嘱されず、末法の初め地涌の菩薩に付嘱されたという。
ここでは諸法実相論が迹門の問題としてでなく、本門寿量品の立場から論究されているのである。
次にこの妙法五字を末法の時代に弘通する日蓮聖人の使命と仏使としての受難の覚悟と法悦、即ち末法の導師としての日蓮聖人の内証が開示される。
終りに最蓮房及び門下一同に地涌の流類として妙法を弘通し、広宣流布の実現に努めるよう強盛の信心を勧奨している。
「行学の二道をはげみ候べし。
行学たへなば仏法はあるべからず。
我もいたし人をも教化候へ。
行学は信心よりをこるべく候」(定七二九頁)という行学二道勧奨の文は、古来より日蓮門下の間で尊ばれ誦されている祖訓である。
《『遺文辞典』歴史篇「諸法実相鈔」の項、『日蓮辞典』「諸法実相鈔」の項》