五味主
五味主
ごみしゅ
五味主の法門のこと。
日蓮聖人が『曽谷殿御返事』(定一六五四頁以下)に説かれた法門で、法華経の教相を論ずるものである。
聖人滅後の教学史の中で、所謂日蓮宗一致派ではあまり論じられたことのない法門で、八品派(法華宗本門流)あるいは日真門流で重視する教義の一つ。
即ち五味(乳味・酪味・生蘇味・熟蘇味・醍醐味)を諸経にそれぞれ配し、醍醐味(無量義経・法華経・涅槃経)の中でも法華経は五味の主であると説かれる。
そして、この五味主の法門は本門にあるといい、更に法華経本門と末法下種の要法を相対して、妙法蓮華経の五字は一切経の神(たましい)、一切経の眼目であると示されるのである。
つまり妙法五字こそ五味を超える五味主と見做すものである。
これは寿量品の一品二半と八品下種の種脱判によって分別されるのであって、上行菩薩に付嘱せられた滅後下種の妙法蓮華経の五字を「本法」として、一代聖教をその本法の下に位置づけようとする法門である。
《『遺文辞典』教学篇「五味の主」の項》