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墓地法

ぼちほう #1271

墓地法

ぼちほう

墓地法とは明治六年(一八七三)一〇月二三日右大臣岩倉具視の各府県に対する「達第三五五号」で地制度を規制し、明治七年六月二二日太政大臣の地取扱規則で地は免租地となり、官庁の指定をうけて成立することを明確にした。
明治一七年一〇月四日「太政官達第二五号地及び埋葬取締規則」の発布によって地取扱規則は消滅し、更に明治一七年一一月一八日「内務省達乙第四〇号地及び埋葬取締方法細則標準」が公布され、次いで同年「太政官達第八二号地及ビ埋葬取締規則ニ違背スル者ノ処分方」及び昭和二二年四月一五日「厚生省令第九号埋火葬の認許等に関する件」等の法令に基づきそれぞれ規整遂行された。
これらの法令は昭和二二年「新憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律の規定」により改廃され、それに代るものとして制定された法律すなわち昭和二三年五月三一日「法律第四八号地、埋葬等に関する法律」をいうのである。
この法律第一三条管者の応諾義務の条文に起因して強行埋葬という新しい地問題が起っている。
ち昭和三五年三月八日付をもって厚生省が各都道府県指定都市衛生主管部(局)長宛に発した「地・埋葬等に関する法律第一三条の解釈について」通達した地管者の応諾義務の解釈である。
ある宗教団体においてはこの通達そのものを法律上の効力発生の要件とうけとり、寺院の伝統と歴史を無視して寺院の墓地に管理者の承諾なく遺体の埋葬、遺骨の埋蔵を強行するという暴挙を敢えてする例が続出し訴訟件にまで発展した。
この問題の根拠である「法律第一三条の解釈」の通達とは宗教団体の経営する墓地、納骨堂または火葬場の管理者が埋葬、埋蔵、収蔵または火葬の求めを受けた場合において、異徒であることのみをもって、その求めを拒否することは正当な由なきものとして則「同法第二一条」の適用があることを明示したものである。

(注)第二一条 左の各号の一に該当するものはこれを千円以下の金又は拘留若しくは科料に処する。

(1) 第三条から第七条まで、第一二条から第一七条までの規定に違反した者。

(2) 省略  この解釈の通達が地問題の導火線となる。
通達という語義は昭和三九年最高裁の横田正俊裁判官により次のように明解な裁判が行われている。
「通達とは法規の質を持つものではなく上級行政機関が下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指摘し職務に関して命令するために発するものであり、これらの者がその通達に拘束されることはあっても一般民(この場合は寺院を含む)は直接これに拘束されるものではない」と。
しかるにある宗教団体ではこの通達そのものを法規上の効力を有するものと解釈し、寺院墓地は信仰の対象ではなくまた宗派的典礼を行うところではないという考え方と更にその反面国民の伝統的祖先崇拝という宗教的感情からその親族の遺体または焼骨を寺院墓地に先祖と共に埋葬蔵したいという根強い希望が存することも否定できない事実からあえて寺院地に強行埋葬に及んだわけである。
その原因となる通達の法律第一三条の「正当な由」の解釈についてみるに「正当な由」とは一般社会通念として認められた慣行をも含むち一般寺院の取り行う儀式執行典礼の慣行慣習を拒む場合は埋葬依頼を拒絶できる。
「昭和二三年五月二七日付政府委員厚生省公衆衛生局長厚生技官三木行治回答」。
次いで昭和二四年八月二二日付厚生省公衆衛生局環境衛生課長の墓地法第一三条の「正当な理由」についてと題する東京都衛生局長宛の文書中「その墓地又は納骨堂において従来から異教徒の埋葬蔵を取扱っていない場合で、その仏教宗派の宗教的感情を著しく害うおそれのある場合は法律第一三条の“正当な由”があるものとして拒んでも差支えない」と正当の由による拒絶であるとしている。
これらは明らかに従来からの宗派における儀式執行典礼に基づく慣行慣習を尊重し「正当な由」について拒否することのできる正当が立証されている。
更に判例は「異宗の典礼の施行を条件とする依頼、ないし無典礼を条件として当該寺院の定める典礼の施行を容認しないような依頼に対しては社会通念の上からも是認することはできないから、このような場合は自派の典礼施行が害されることの正当な理由として拒絶することができる」「昭和三八年六月二一日津地裁判」と示され宗教法人である寺院の存立をおびやかすことなく典礼施行権の確立を立証されている、従っていかなる程度の典礼であってもそれを施行する権限が寺院墓地側に存する以上、寺院墓地としての性格を根本から否定抹消し、墓地使用権「その寺院の檀家となることによって寺院墓地内に墳墓を設置所有する権利をいう」の権利に基づいて当然に埋葬蔵できる旨の主張をもって無典礼に伴う埋葬蔵の依頼に対しては墓地法第一三条の「正当な理由」として自派の典礼施行権をもって拒絶し、法人本来の目的達成のため宗教団体の歴史、沿革、伝統を遵守し寺院地格護につとめることが地管者の義務であり責任である。

 次に改葬および無縁地(石)の処理については、一般改葬は地管理者と墳所有者との合議により地埋葬等に関する法律第五条第二項の規定に従い改葬許可申請書(市町村長)を提出し改葬許可を得るのであるが、改宗離檀による改葬については、寺院墓地に墳墓の祭祀を司る者(施主)から寺院住職)に対し一方的に改宗離檀の通告があった場合の処置として一応施主は改宗し従前の寺院の教義の信奉者でなくなったという点において離檀は成立するも存続期間の定めのない祖先の墳墓が寺院墓地内に存する限り墳墓地の維持料等の経費負担の義務が存する関係から完全な離檀とはいえないし、また返還時期を定めていない寺院墓地に墳墓(石)が設置されている限り改宗離檀したからといってこれによって祭祀承継者の墓地使用権が消滅解除するものではないから、その改葬には改宗離檀者の同意を必要とする。
従って典礼施行権(宗派の定める儀式)をもつ寺院としてはあくまで改宗離檀後のもとの寺院墓地への埋葬蔵の依頼には当然自派の典礼を施行すべきであり、その典礼を受任することを欲しないときは改宗後の宗教団体の地または共同地に先祖の墳を改葬するより外はない。と判示されている。
次に改宗離檀を問わず一般に寺院地に墳(石)が長年にわたり放置されている場合を無縁地というが、法的には地使用権の消滅した状態すなわち墳所有者(祭祀承継者)が絶絶滅の場合を相当と解されている。
その無縁地の処理については、公営地(霊園)のように管理条例または契約等により一〇年以上管理料未納、祭祀承継者の居住不明の場合は無縁地として地、埋葬等に関する法律第五条により処理されているが、寺院墓地のように、そのような定めがない場合とくに歴史的に永久墓地として寺院が経営管権を委任されている限りにおいては法律上の取扱いが必要とされる。
その一、民法上契約の解除(第五四一条)寺院と墳墓所有者との従来よりの慣習、慣行により墓地管理料、または供養志納付届等を納める経費負担の義務が存する場合に、その義務不履行として履行の催告を経て地使用契約を解除することもあり得る。
その二、民法上消滅効(第一六七条)一〇年間または二〇年間墳(石)がそのままの状態にあるときは権利行使なきものとして効によって消滅することもあり得る。
この場合には地使用権が消滅していることの公の確認が必要とされるから一般的に行われている公の確認の方法として地、埋葬等に関する法律施行規則第三条の次のような方法によって処されている。

(一)地使用者及び死亡者の本籍地及び住所地の市町村長に対して、その縁故者の有無を照会し、無い旨の回答を得たこと。

(二)地使用者及び死亡者の縁故者の申出を催告する旨を、二種以上の日刊新聞に、三回以上公告し、その最終の公告の日から二月以内にその申出が無かったこと。

 以上の手続きを経て埋葬された死体、または埋蔵された焼骨の改葬を行うことができる。
寺院地内の無縁塔に収蔵することである。
(梅木良明)

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