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元祖化導記

がんそけどうき #683

元祖化導記

がんそけどうき

二巻。 『化導記』とも略称する。 行学院日朝(一四二二-一五〇〇)著。 文明一〇年(一四七八)成立。 室町期成立の代表的な日蓮聖人伝記本。
原本は存在しないが、本書成立後二二年目の明応九年(一五〇〇)四月に、日定が書与したものを、文一一年(一五四二)二月に順幸が書写した転写本を身延久遠寺身延文庫に所蔵する。 本写本の全文は高木豊が寛文六年(一六六六)刊行の『元祖化導記』と校合し、『日蓮教学研究所紀要』第二号に収録されている。
期に成立した『日蓮聖人註画讃』と共に、聖人滅後最初の一代記的体裁を整えた伝記本である。
本書は上下二巻に分かれ、上巻には「後堀河院」(日蓮聖人誕生)から「依智星下事」までを三〇項目に、下巻には「佐渡国流罪事」から「大聖人始而図之御本尊之事」までを三二項目(寛文六年刊行『元祖化導記』では、最後に「聖人御一期之間、王代記年号事」の一項目が加わり、三三項目となる)に分かれ、日蓮聖人の伝記を記述している。
身延山久遠寺第一一世貫主で、当時の著名な学僧であった著者日朝の本書述作の目的は、日蓮聖人の宗教を世に流布することにあった。 その記述方法は、自身蒐集謹写した膨大な日蓮聖人遺文の自伝的部分を抽出編集し、それを基本に遺文にない部分は『王代記』『太平記』等の諸本のよって補うなど、『御書見聞』『補施集』『法華草案抄』等、多くの日蓮教学・天台学関係書を著した学僧日朝の正しい日蓮聖人の伝記を伝えようとする姿勢があらわれている。 宗教的奇跡と読者の興味をひくような潤色的記述を豊富に盛込んで述作された同時期成立の『日蓮聖人註画讃』とは極めて対照的である。 その意味で内容的にも日蓮聖人伝研究の上で、貴重な資料の一つとなっている。
《『日蓮上人伝記集』、『日蓮辞典』「元祖化導記」の項、牧野和夫「日堯撰『當家肝要文集』巻上に所引〔日蓮伝〕について―『元祖化導記』所引「或記」に関連して―」(『実践文学』四三号)》

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