釈子
釈子
しゃくし
(一)出家受戒した者は、釈尊の子であるという意味。
仏弟子、僧侶をいう。
釈氏ともいう。
『維摩経』(正蔵一四巻五四三頁a)を参照。
(二)日蓮聖人の宗教的自己規定の変化は著述等の署名より窺うことができる。
例えば、『撰時抄』には「釈子日蓮」とあるが、それ以前の署名には、「天台沙門日蓮」(安国論―日興写本―)・「根本大師(最澄)門人日蓮」(法華題目抄)・「本朝沙門日蓮」(教機時国抄・顕謗法抄・祈祷鈔・本尊抄等)・「扶桑沙門日蓮」(法華取要抄)とある。
以後は「沙門日蓮」(安国論―広本―)・「法華経の行者日蓮」(法華證明鈔)と表明されている。
佐渡配流以前は天台・伝教に直結する天台宗の、あるいは日本の一僧侶という立場を脱しきっておられない。
しかし、それ以降は閻浮提の日蓮、または釈尊に直参しその詔勅を奉ずる日蓮と、変化が見られる。
即ち前者が外相承の意識、後者が内相承のそれを帯すると考えられよう。
『撰時抄』における「釈子日蓮」の表現には、法華経の行者として上行自覚され、一閻浮提の衆生を救済しようとする聖人の師(五義)自覚が看取できる。
《『遺文辞典』歴史篇「釈子」の項》