妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

本国寺版

ほんこくじばん #3363

本国寺版

ほんこくじばん

四一巻。
京都本寺で出版した刊本録内御書のこと。
最初の録内御書全部の刊行本。
刊行年次は元和元年(一六一五)、同八年説があり定かでない。
本国寺年譜』の説をとれば、元和元年正月刊行となる。
本書は文禄年(一五九二-九六)から寛永中期(一六三三頃)にかけて、盛んに行われた朝鮮伝来の古活字刷によるものである。
その刷技術の制約から刊行部数は極めて少なく、現在では完本はおろか、その一部についても現存しないと考えられてきた。
身延山久遠寺身延文庫所蔵の三冊の古活字版御書、即ち御書五(撰時抄下)、御書一八(身延山御抄・単衣抄・中興入道消息・月水御書)、御書二三(阿弥陀堂法印祈雨事・当体義抄・慈覚大師事・如説修行抄・本尊供養御書・種種御振舞御書・災難対治御書)が本国寺版の一部であることが指摘されている。
その由は、この三冊の御書が古活字版であること。
そして舜統院真迢が「破邪記に引出せる日蓮書の文は何れも昔の定の正本也。昔年京本国寺にて板行したる本にして少しもまぎれなき実正の本」(禁断日蓮義)というように、寛永一五年(一六三八)刊行の『破邪顕正記』に引用する本国寺版の遺文と身延文庫所蔵本の対比から、この三冊の御書を本国寺版の一部とするのである。
京都本寺は朝鮮伝来の活字刷法により、諸宗寺院に先駆け文禄四年(一五九五)一一月に『天台四教儀集解』を刊行したのを始め、寛永三年九月の『摩訶止観私記』の刊行まで、本国寺に出入りした日従・日進・日珠・日慧らの日蓮宗「工匠」僧により、七点の書を刊行する。
元和元年(一六一五)正月刊行の本国寺版録内御書も、こうした本寺における出版文化活動のなかで生み出されたものであったと考えてよい。
本書は最初の録内御書全部の刊行本であるばかりでなく、中世の写本時代から近世の刊本時代へと移行する日蓮聖人遺文の貴重な書誌的史料でもある。
《冠賢一「近世初期における日蓮遺文の刊行」『日蓮聖人研究』》

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