講式
講式
こうしき
日本語による仏教歌謡の一ジャンルであり、仏・菩薩の功徳や教法、また祖師・高僧の行蹟をシラビックに講讃する声明のこと。
講式の成立は古く、およそ平安中期まで遡り、永観津師(一〇三二-一一一一)作の「往生講式」がその濫觴で、以後、講式のもつ旋律・構成・規格などは皆これに準じたという。
講式は主として真言・天台の両宗で重んじられ、真言宗の「四座講式」、天台宗の「六道講式」などは有名。
日蓮宗においても両宗の影響を受けて、室町期から江戸期にかけて講式が作成されるようになった。
以下、現存する講式の名称を列挙する。
(1)法華講式 (2)舎利講式 (3)像師講式 (4)宗祖四百五十遠忌式 (5)御影講式。
(1)法華講式は龍華日像(一二六八-一三四二)の元亨三年(一三二三)春の作成とされるが真偽は不明。
内容は最初に敬白段、第一段に如来の恩徳を讃め、第二段に末代有縁の法を明し、第三段に五種の妙行を叙し、第四段に諸天等の擁護を揚げ、第五段に回向発願を致すという全五段からなる。
(2)舎利講式は二種類あるが、いずれも作成者は不詳。
一方の内容は最初に敬白段、第一段に如来の恩徳を讃え、第二段に舎利の分布を明し、第三段に回向発願を致すという全三段からなり、もう一方は最初に敬白段、第一段に如来の現滅大衆の悲歎を挙げ、第二段に涅槃画像の縁起を明し、第三段に回向発願の志趣を述べるという全三段からなる。
(3)像師講式 作成は不詳。
内容は最初に敬白段、第一段に開基の嫡様を明し、第二段に花洛の化導を述べ、第三段に回向発願を致すという全三段からなる。
(4)宗祖四百五十遠忌式は、享保十六年(一七三一)、大林日光(生没不詳)の作成。
内容は最初に敬白段、第一段に受持読誦を述べ、第二段に回向発願を致すという全二段からなる、
(5)御影講式 作成は不詳。
内容は最初に敬白段、第一段に如来の功徳を述べ、第二段に祖師の恩情を明し、第三段に回向発願を致すという全三段からなる。
講式の旋律にはその音域の高下によって、初重・二重・三重並びに甲・乙の別があり、全音域は約二オクターブに亘っているが、日蓮宗の講式は他宗の講式とは違って、初重と三重を甲に、二重を乙に配当するという特色を持つ。
《『国史大辞典』五巻「講式」の項》