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摂受

しょうじゅ #2290

摂受

しょうじゅ

摂取容受、摂引容受の意。 摂おさめ受け入れ包容して導くこと。 母の愛にも似た穏やかで柔和な態をいう。 父の厳しさにも似た相手のあやまりを破折(はしやく)し調伏して導く折伏(しやくぶく)くの反対語。
教では正しい道へ導く二つの教化法として摂受折伏化導法が古来から提示されている。 摂受とは相手の義をしばらく容認して争わず、漸進的に正法の世界に摂入することで、折伏とはこれと反対に、相手の邪義を許さず糾弾摧破し、正義に帰伏せしめることで、その摂・折の典拠は一般に『勝鬘経』(しようまんぎよう)が挙げられている。 この経の十受品に、あやまった衆生に対して「折伏すべきはこれを折伏し、摂受すべきはこれを摂受す。 何をもっての故に、折伏摂受をもっての故に法をして久住せしむ」(『正蔵』一二巻)とある。
『法華経』『涅槃経』に摂折二門があるとみたのは天台智顗で『玄義』に「法華折伏破権門理」(『正蔵』三三巻)の文を記している。 ただし摂受の典拠は法華経の安楽行品による。 安楽行とは相手のし、長所短所さえ口にすることを禁じている寛容な修行方法である。
ところが日蓮聖人常不軽菩薩品を末法折伏の文証としてそれまでとは異なる独自な摂受・折伏論を展開し「日蓮の宗教」を作りだした。 この摂受折伏の思想は聖人の宗教に重要な比重を占めているのである。
《『遺文辞典』教学篇「摂受」の項、茂田井教亨『日蓮の行法観―その思想と生涯―』、『日蓮辞典』「摂受」の項、『日蓮聖人大事典』「日蓮聖人と摂受折伏四箇格言」の項、小松邦彰・花野充道『日蓮の思想とその展開』(春秋社『シリーズ日蓮』二)》

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