依正
依正
えしょう
依報(えほう)と正報(しようほう)の二報のこと。
正報とは果報の正体の意で依報に対する語。
過去の業因によって得た有情(生あるもの)の心身をいう。
即ち我々衆生の心身が正報で、依報とはこの正報の依る所、心身の依止すべき国土山河草木食物等の非情をいう。
正報は過去の行為の報いとして受けている現在の心身であり、依報はその心身が住している環境世界のことで、この二つは共に前業の報いであるところから正依二報とよばれ、また二果(正果依果)二報ともいう。
正報と依報とは人間と環境との関係であり、この二は常に相依相関を有し、二而不二の関係にあるとされ、依正不二の思想が仏教では説かれている。
妙楽大師は天台が『玄義』で説いた十妙を解釈して「十不二門」を立てたが、その第六に依正不二門を設け、一念三千の思想により衆生と五陰の二千世間を正報に、国土の一千世間を依報に配し、この依正の三千世間は即一心一念にありとして依正一体不二をいい「身土不二」の独得な法門を展開する。
確かに自然環境(依報)とそこに生きて生活する人間(正報)とは切り離して存在し得ないもので、不二とみる仏教の思想は勝れたものである。
これは依正の因果が不二ということで、もし衆生が成仏すれば、その土も仏界を現ずるという考えに発展し、一念三千から草木成仏論も生じている。
《『遺文辞典』教学篇「依正」の項、『日蓮辞典』「依正二報」の項》