供物
供物
くもつ
供給資養の浄業を供養といい、三宝尊或は死者の霊に対し報恩の誠をつくして献供する数々の品を供物と称し、御供物ともいう。
供物の種別と献供する数によって供養修会の別がある。
「二種供養」(一) 財供養=香・華・飲食の財供養。
(二)法供養=如説に修行して衆生を利す。
「三種供養」(身・口・意の三業供養、身業供養・口業供養・意業供養)「四種供養」(飲食・衣服・臥具・湯薬の利供養の四事供養)。
「五種供養」(塗香・香・焼香・飲事・灯明)。
「六種供養」(五種供養に「閼伽」を加えて真言家で修む)「十種供養」(華・香・瓔珞・抹香・塗香・焼香・幡蓋・衣服・妓楽・合掌の供養。「法華経法師品」の説相)
インドでは供養物(daksina)つまり施物の意で、後には塔婆への供物・僧団への供養と区別されたが、日本では仏祖三宝に献供し奉敬報恩感謝を意味した。
供物としては飲食を一般的に供え、餅の類を第一とする。
時には百味の飲食と称して種々の珍膳佳味を供養献供することもあり、特殊法要の時は鏡餅(紅白・青紅・白)/霊酒・白米・白塩・菓子・果物・大豆・蔬菜・乾物等を白木の三方に盛って献供する。
葬歛式の供物として菓子・果物等の他に献茶(茶湯)・霊膳・献水の行軌がある。
『宗定法要式』(平成23年改訂再版)第二篇第二章五、供養香華の項で詳しく教示してある。
供物は華足(束=六角形)・高杯(たかつき)・三方・供響などに盛り、左右均等に整然と供える。
身延の山中に、天雨を脱れ、木の皮を剥いで四壁とし、自死の鹿の皮を衣とし、春は蕨を折って身を養い、秋は果を拾って命を支え(『秋元御書』定一七三九頁)られた日蓮聖人は、諸人の供養に対して、「十字(むしもち)六十枚・清酒一筒(ひとつつ)薯蕷(やまのいも)五十本・柑子二十・串柿一連送り給ひ候畢んぬ。
法華経の御寳前にかざり進らせ候」(『上野殿御返事』定一七二九頁)「鵞目一貫文送り給ひ候了んぬ。妙法蓮華経の御寳前に申し上け候了んぬ」(『中興入道御消息』定一七一二頁)、「麞牙一駄(四斗定)・あらひいも(洗芋)一俵送り給(たひ)て南無妙法蓮華経と唱へまいらせ候了ぬ」(『上野尼御前御返事』定一八九〇頁)、等一々供養に対して礼を述べられ、必ず宝前に献供遊ばされた。
《『宗定日蓮宗法要式平成版』、中村錬敬『日蓮聖人と諸人供養』、『遺文辞典』歴史篇「供物」の項》