妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

位牌

いはい #588

位牌

いはい

霊牌ともいう。 死者の霊を祀るために法名(戒名)又は俗名を記す長方形の木牌で、その形様には種々あるが、牌の下部に蓮台を付すのは仏家の通例で、新寂より中陰(ちゆういん)(七七日忌)までは白木の位牌を用いる。
上部の置字には妙法・新寂・帰元・新帰寂等と認め、七歳以下の幼児には早世と書き、能化上人には示寂・遷化・圓寂とし、所化の僧尼には還到と認める。 下の置字には霊位、能化上人には覚霊・聖位、貴顕高官には尊儀又は尊霊と書き、没年月日・俗名・世寿を認める(或は俗名、世寿は裏に書く)。なお書くは誤字、脱字のないように、字体は楷書で墨は濃くすってきちんと書くようにすること。 忌が明ければ塗物の位牌に代えて仏壇の中に祀ることを常とする。
位牌の起源に就ては詳かではないが、儒教では、後漢(二~三世紀)に、存命中の官位姓名を記した牌を、位板・木主・神主又は虞主と称し、神霊を託した慣習から転じたともいい、わが国では、位板や木主の形ではなく笏(しやく)の形の、上古の神牌(たましろ)、官家の位籍を仏家が依用したもので禅宗の伝来に伴って次第にひろまった。 様式として屋蓋蓮台を加えて塔形となったのは鎌倉期前後で、広く用いられるようになったのは足利期以後であり、江戸代には一般化した。
牌は籍の意で亡き人の官位・姓名を録したものの意ではあるが、教思想の発達に伴う祖先崇拝の信仰と密接な関係があり、報恩感謝と追慕追善の具現として各家庭に安置し、朝夕礼拝供養し、菩提寺の位牌壇・祠堂に納めて諸仏に霊が救われた意を表わし、菩提を弔う表示となった。
位牌の形状は種々あるが、屋根や扉を付し、唐草文様を刻して両袖を飾り更に上部に雲形・月又は家紋をつけ、台座も二重三重の蓮座に勾欄を飾り、塗りも黒・朱・金箔多種多様である。 又繰り出しもしくは繰り位牌と称し、一牌の郭中に数枚の木牌を蔵めるものもある。
《『和漢三才図会』、『岩波教辞典』『図説仏教語大辞典』『国史大辞典』一巻「位牌」の項

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