妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

退延入池の弁

たいえんにゅうちのべん #4946

退延入池の弁

たいえんにゅうちのべん

繰り弁の一つ。
日蓮聖人身延山出立より、池上入滅までの情景を語る段である。
一般に「身延下山の弁」「池上入滅の弁」とに分けられ、後者は「帝都付嘱の弁」「悲母毛髪の弁」等、数節に分岐して語られる場合もある。
本弁は聖人が弘安五年(一二八二)九月八日、常陸の湯に病身を養うために、波木井実長公が用意した栗鹿毛の馬に乗り身延を下山するが、在山九ヵ年の思いに万感迫り涙ぐむ。
その姿を見た実長は、何か深い仔細あらんと聖人に尋ねる。
聖人は釈尊が霊山より艮(うしとら)の地に入滅した故事を語り、みずからも身延より艮に当る池上宗仲のにて入滅するであろうと、その本意を伝える。
驚いた実長は弟実継を供につかせて聖人を無池上に送る。
聖人は「たとえいづくにて死に候とも、墓をば身延の山に建てさせ給え」と、実長宛の書面を実継す。
入滅の近いことを悟った聖人は、最後の講義を行い、六老僧に後し、経一麿に帝都の弘通を遺言する。
そして一〇月一三日辰刻(午前八)、法華経読誦のなか入滅するという内容で、聖人の偉徳を偲び、信者信仰者の自覚を促す弁である。

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