一念多念文意
一念多念文意
いちねんたねんもんい
一巻。
親鸞(一一七三-一二六二)著。
別称として『一念多念証文』『一多証文』等がある。
真蹟は東本願寺に格護され、成立年代は不詳である。
真蹟本の奥書には康元二年(一二五七)二月一七日とあるが、建長八年(一二五六)五月二九日付と推定される性信宛の書簡に本書の名が見えることより、成立年代は建長八年以前に遡ることができる。
本書は法然の弟子隆寛が著した
『一念多念分別事』を解説・注釈したものである。
一念とは一回、多念とは数多く念仏を称えることをいう。
一念義・多念義で分裂していった法然門下の中、隆寛はそれにこだわるべきでないと主張した。
親鸞は本書を「一念をひがごととおもうまじき事」「多念をひがごととおもふまじき事」の二項目に分け、『無量寿経』『阿弥陀経』や善導の著述などの隆寛の引用文を注釈し、彼の説を継承している。
なお本書は『真宗仮名聖教』第一、『真宗法要』第二、『真宗和語宝典』第二、『真宗聖教大全』上等に収録される。
《『親鸞辞典』「一念多念文意」の項》