貫首・貫主
貫首・貫主
かんじゅ
「かんす」「かんず」ともよむ。
各宗とも用いられる用語で、本山のように末寺を統べる位置にある大寺院の住職を指す。
わが国では、天台座主を貫主と呼んだのに始まる。
日蓮宗でも早くからこの名称が用いられ、門流の中心寺院たる本寺の住持を貫主と呼び、門流の寺院・僧侶を指導した。
日蓮宗の初期にあっては、貫首職につく人物(「器用ノ人」といわれている)は幼少の時から定められ、貫主たるにふさわしい教育を受けた。
貫主はこのような後継者を選定すると、これを弟子としての法脈と寺宝・財産など、教団の一切を譲与する方針を定め、没後にこれが実行されることになる。
貫首が帯びる権限は(1)教学面の代表者であり決裁者であること、(2)本寺の財産を管理・運営すること、(3)末寺と一門の僧侶を指導し統率することである。
やがて近世になると、寺院組織が全国的に整えられ、行政的な面が重視されるようになり、貫首も一門の寺格や法類などの力関係によって選任されるようになる。
従って江戸幕府の宗教統制による本末体制の頂点にあり、これを統制し運営するということが第一の目的となり、教学面は檀林制度の方へ分化していった。
明治以降の貫首も、このような性格を受継いでいる。
第二次世界大戦後は、本末制度の解体と新しい宗教法人法によって、旧本寺本山制度が廃止され由緒寺院とよばれるようになった。
現在でいう貫首は、由緒寺院の住職に対する敬称であって、宗教法人の代表責任者としてのほかの権限はない。
しかしながら、日蓮聖人以来の法灯を守るべき、伝統的宗教権威の継承者として、宗門僧侶に対する責任は重いのである。
《『国史大辞典』三巻「貫首」の項》