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菩提心論

ぼだいしんろん #4608

菩提心論

ぼだいしんろん

一巻。
真言宗十巻章の一に数えられる。
南インドの龍樹(一五〇-二五〇頃)の作で、唐の不空三蔵(七〇五-七七四)が訳出したといわれている。
『金剛頂瑜伽中発阿耨多羅三藐三菩提心論』の略であり、略して『金剛頂発菩提心論』とも『発菩提心論』ともいう。
または『瑜伽総持教門説菩提心観行修持義』とも名づけられている。
真言宗にとっては重要な拠り所の論疏となっているものであり、菩提心の行相について、行願、勝義・三摩地の三門を立て解説する。
ち行願の菩提心とは大慈悲心をもって有情界のすべてを利益せしめ、勝義菩提心とは諸法の無自性を悟る智慧であり、三摩地は観行のことで諸仏の法身を悟ることができると説き、もって即身成仏することができるとするのである。
龍樹の作といわれているが疑点が多く、中で撰述されたものとされている。
日蓮聖人は『撰時抄』の中でこの論を取上げ、弘法大師がこの書を龍樹の第一肝心の論としているが、龍樹の作でないことを挙げ「此論文は一代を括れる論にもあらず。荒量なる事これ多し」(定一〇二二頁)と述べ、文証と現証のある法華経の即身成仏を無視して文証・現証共になき真言の経の即身成仏を立てて「唯真言法中即身成仏」と主張することは大きな誤りであり、不空が時の人々に重く見せるため龍樹の名で著したものと批判している。
《『遺文辞典』歴史篇「菩提心論」の項、『大蔵経全解説大事典』「一六六五・金剛頂瑜伽中発阿耨多羅三藐三菩提心論」の項、『仏書解説大辞典』「菩提心論」の項》

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