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沙石集

させきしゅう #3745

沙石集

させきしゅう

一〇巻。
「しゃせきしゅう」とも読む。
無住一円(一二二六-一三一二)の著、書名については文の中で「彼金を求むる者は沙をあつめてこれをとり、玉を翫ぶ類は石をひろひて是を瑩(みが)く、仍って沙石集と名づく」と説明している。
本書は教諸宗にわたっての教訓的説話集で、序文中にも「狂言、綺語のあだなる戯を縁として、仏乗の妙なる道に入れ、世間浅近の賤しき事を譬として勝義の深き理を知らしめんと思ふ」とあるように、仏教の経典(起信論・法華経・涅槃経摩訶止観往生要集・性霊集)、日本の説話文学(今昔物語・宇治拾遺物語・十訓抄・古今著聞集・宝物集)、漢籍(論語・孝経・荘子・白氏文集)、伝説(日本霊異記・日本往生極楽記)などから取材し、文体は平俗を旨としており、文学上からも貴重な資料である。
日蓮聖人は『松野後家尼御前御消息』(続三八)の中で「沙石集に云く盲亀の浮木の孔にあふと云ふ事は実にさる事の有るにはあらず」(定二一二八頁)と述べられ、『雑阿含経』、『法華経』妙荘厳王品中の盲亀の「値浮木孔」の譬えを本書より引用している。 ただし本書の成立は、弘安元年(一二七八)の起稿、弘安六年(一二八三)仲秋の脱稿であるから、聖人は本書の存在を知り得なかったはずである。
なお、本書は後世の落語笑話の土台とも見られる笑話が随所に出ている。
《『日本古典文学大系』八五巻、『史大辞典』七巻「沙石集」の項、廣田哲通『中世説話の研究』『法華経と中世文芸』

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