毒牡丹餅の弁
毒牡丹餅の弁
どくぼたもちのべん
繰り弁の一つ。
身延の日蓮聖人を、善智法印が毒牡丹餅をもって殺害せんとする情景を語った段。
情景描写の相違によって、古典物を始めとして数種の弁が伝えられている。
本弁は甲州小室に於て法論の末、弟子となった善智が、建治元年(一二七五)秋、身延の庵室を訪れる。
善智は先年の問答に負けた仕返しとして、毒の入った牡丹餅を聖人に差出す。
聖人は「折角の芳志、仏に捧げて日蓮も頂戴仕ろう、それから彼にも一つ取らせん」と「如是畜生発菩提心」と心中で回向して、縁先にいた白犬に牡丹餅を与える。
犬は忽ち七転八倒の苦しみ、それを見た善智は聖人の先見に驚き、懺悔して聖人に謝罪する。
聖人は「自ずからよこしまに降る雨はあらじ、風こそ夜半のまどを打つらめ」と、一切の人々は因縁によって生ずる、善縁に触れては善人となり、悪縁に触れては悪人となる。
しかし一念懺悔してお題目を唱えれば、その罪業は滅するから、邪道を捨て正法に帰依せよと善智を教化する。
という内容で、お題目の功徳と聖人の偉徳を語る弁である。