三衣一鉢
三衣一鉢
さんねいっぱつ
比丘(僧)の着る三種の衣(袈裟)と、食物を乞う一個の鉄鉢の器のこと。
三種の衣とは、正式の儀式に列席する時に着る僧伽梨(大衣)、法座に着る欝多羅僧(七条)、堂の作務などの時に着る安陀会(五条)をいう。
日蓮聖人は『下山御消息』において、末法に戒行を持つように見せかける僧侶があると釈尊の言葉があるが、今の日本国の誰であろうか。
もし今の日本国にいないとすれば、釈尊は妄語の人となる。
経文には僧侶とあるのみで、俗の男女や尼のことは載せてない。
僧侶は日本中には無数にいるが、その中でも三衣一鉢を持たなければ戒律を持つように見せかけるとはいわれない。
してみると多数の僧侶の中でも、持斉の僧だけがそれに当るようである。
また経文の次の文に戒律を持つとあるから、多くの持斉者の中でも律宗の人に限られる。
更に経文の次の文に「少し経を読誦する」とあるから、「相州鎌倉の極楽寺の良観房にあらずば、誰を指し出して経文をたすけ奉るべき」か。
また経文の次の文には、猟師が見ぬふりをして盗みあるきするように、また猫が鼠をうかがうかのように、表面には聖者と見せかけて、内心には貪欲や嫉妬の念を抱いているとあるが、良観房以外に誰が三衣を身に纒い、一鉢を持って、猟師か猫のようであるといわれた仏の言葉を証拠だてる者があろうか(定一三二九-三〇頁)、と述べ、良観を批判するうえで三衣一鉢のたとえを用いている。
《『遺文辞典』歴史篇「三衣一鉢」の項、『岩波仏教辞典』「三衣一鉢」の項》