妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

己心

こしん #1937

己心

こしん

自分の心。 他心に対する。
観心本尊抄四十五字法体段には「今本時の娑婆世界は三災を離れ四劫を出たる常住浄土なり。 既に過去にも滅せず未来にも生ぜず。 所化以て同体なり。 これ己心の三千具足三種の世なり」(定七一二頁)とある。 これについて「凡夫の己心」「果上の己心」等の解釈がなされているが、『観心本尊抄』の文脈に従うならば受持者の己心と表現するのがより正確であり、これは単に凡夫の己心、果上の己心と規定しえないものがある。
観心本尊抄』における問答の主題は凡心具仏界の問難であり、これを聖人は受持譲与段で受持具と決釈されたのである。 受持は信に立脚して超越の釈尊を内在的に受領することである。 行者は受持の自己否定を媒介として久遠釈尊の譲与に生かされる。 従って受持者の己心とは久遠釈尊に生かされた世界と表現しうる。 釈尊所具の己心とは釈尊によって証明された真実の自己であり、『観心本尊抄』ではそれが妙法五字受持の信によってのみ実現することを説いて、法華経の成仏(一念三千成仏)を論証されたのである。
《『遺文辞典』教学篇「己心」の項、『日蓮辞典』「己心」の項》

← 事典トップ