安国論献上の弁
安国論献上の弁
あんこくろんけんじょうのべん
繰り弁の一つ。
日蓮聖人が『立正安国論』を述作して、前執権北条時頼に献呈せんとした情景を語る弁。
聖人は岩本実相寺の経蔵に入り、一切経を研鑽して、続出する天変地異・飢饉疫病に対する所信を安国論に著し、文応元年(一二六〇)七月一六日、宿屋左衛門入道を取次ぎとして、幕府の実権者である前執権時頼に献上した。
本弁は同日、宿屋左衛門入道の邸にて北条一門を前に、侍読学士此企大学三郎によって安国論が読み上げられる。
その内容は、「打ち続く災厄は禅・念仏宗等の邪法が興隆して、正法の流布を止めたからで、法華経正法に帰依すれば、大難も避けることができる」というものである。
それを聞いた北条一門は激怒し、同月二四日、聖人は時頼と対面することになる。
聖人は、このまま放置すれば自界叛逆、他国侵逼の難が勃発するであろうと「汝早く信仰の寸心を改めて、速やかに実乗の一善に帰せよ」と進言するが、時頼には通ぜず、幕府の反感をかうことになる。
という内容で、数々の法難の直接の起因、松葉谷法難の序説となる弁である。