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大乗起信論

だいじょうきしんろん #1309

大乗起信論

だいじょうきしんろん

馬鳴(Ásvaghoṣa)の著と伝えられる。
梁の真諦訳(五五〇年)一巻。
唐の実叉難陀訳(六九五-七〇四)二巻。
大乗教思想の精粋を要約して述べたもので、史上極めて重要な書物である。
因縁分・立義分・解釈分・修行信心分・勧修利益分の五分から成る。
因縁分には造論の理由を述べ、立義分は衆生心の真如の相が大乗の本体であるとして大乗の意義を体・相・用の三種の大によって示す。
解釈分は顕示正義・対治邪執・分別発趣道相の三段から成るが、顕示正義において衆生の一心を心真如門と心生滅門に分け、前者は心性の不生不滅・常住不変なることであるとする。後者においていわゆる如来蔵縁起が説かれるが、生滅と不生不滅との和会したところが阿梨耶識であるとし、これに覚・不覚の二義があり、覚をまた本覚と始覚に分ける。心体たる本覚が不覚無明の縁によって動ずると、それが妄念となって働き分別が生ずるが、同時に本覚たる真如そのものも働いて清浄な熏習を染心に与えて始覚を生ずる。
次に対治邪執において、人法二種の我見を破し、分別発趣道相において菩薩の修行の道程を説いている。
修行信心分には凡夫の発心修行の相を明かし、勧修利益分には修行の功徳が説かれている。
本書は中・日本の教において頗る珍重され、多くの註釈が著されたが、その中で慧遠の『大乗起信論義疏』、法蔵の『大乗起信論義記』、元暁の『大乗起信論疏』等がとくに有名である。
つまり主として華厳宗で研鑽された。
また本書のサンスクリット原典は発見されず、チベット訳も存在しない。
古来、インド成立を疑って中撰述を唱えるものがあり、今日でも学者の意見はインド成立と中成立に二分されて決定していない。
《『一』論集部五、平川彰『大乗起信論、『遺文辞典』歴史篇「起信論」の項、『大蔵経全解説大事典』「一六六六・大乗起信論」「一六六七・大乗起信論」の項、『岩波仏教辞典』『仏書解説大辞典』「大乗起信論」の項

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