十種病
十種病
じっしゅびょう
病悩の類に一〇種あるということ。
斉藤義鑒は『法華験家訓蒙』で次の一〇種をあげている。
(1)肉病=いわゆる四大不調で生じる病。
針灸、医薬等で治すことができる。
ただし魔鬼物霊によるものは効なし。
(2)心病=いわゆる神経病、喜怒哀楽等の程度を超えたもの。
験者はよくこの病質を見きわめねばならない。
(3)咒病=他人の咒咀力によって生ずる病気。
(4)鬼病=これを五種に分ける。
(イ)請望(望むことがあって病ましむ。
たとえば祭祀を望むなど)、(ロ)報仇(かつて傷害を加えた者を病ましむ)。
(ハ)玩戯(もてあそぶために魅する)。
(ニ)寓食(口腹を養わんがために魅する)。
(ホ)遊寓(理由なく著する)。
これらの鬼病は、諸天善神の力よくこれを払うことができる。
(5)魔病=魔王魔民が、たぶらかしたり、もてあそんだり、または精を吸い取るために人身につくことによって生ずる病。
諸仏の神咒以外は治すことができない。
(6)神病=下劣の天神が祭祀を求めて人身につく。
(7)霊病=いわゆる生霊死霊のこと。
(8)業病=宿世に多くの生類を殴打、殺傷し、また病人にむごい扱いをした者などが今生に終身苦悩する病悩。
医薬、針灸の治すところではなく、治してもまた他の症状を増し、あるいは死に到る。
(9)試病=行者の信心の深さを試さんがために護法の善神が病ましむ。
(10)慈病=行者の所作まさに成弁せんとするに臨んで、五欲の侵乱を防がんがために善神が大慈力をもって病しむ。
以上のうち、肉・心・業の三種の病には行者と病者の堅い信念が必要である。
咒・鬼・魔・神・霊病はよく加持力で治すことができる。
またこの五病は、当宗でいうところの五段に相当する。
即ち鬼・魔・神を野狐、厄神に、霊を生霊と死霊に分ち、咒を加えて五段とする。
なお優陀那日輝の『加持病患祈祷肝文抄』では、病悩を常病・鬼病・業病・禅病の四に分け、鬼病を五段に分けている。