魔事境
魔事境
まじきょう
天台大師の『摩訶止観』巻八下に出ている。
止観の第七正観に示される十境十乗の内、十境の五番目を魔羅の活動する世界、魔事境という。
悟りの世界に入るには種々の修行法があるが、その最も急要なるものはこの止観であり、この止観は悟りの要門であると同時に、修行の活路でもある。
然るに行解の進むにつれて三障(報障・業障・煩悩障)、四魔(五陰魔・煩悩魔・死魔・天子魔)が奮然として競い起る。
しかしながら、これらは皆自分の心から生ずるもので、恐れず、身命を惜まず、心を正しくして動ぜず、魔界の真如即ち仏界の真如なりと観じて貪着することがなければ、必ず魔界は消滅するという。
ただ、像末時代のこの十境十乗等は末法当分にては全く成仏の要道でなく、聖人は『十八圓満鈔』の中で「所詮末法に入ては天真獨朗の法門(天台の一心三観の法門を指す)無益也」(定二一四三頁)として、ただし助行には用うべしと仰せられている。
《『摩訶止観』、『天台小止観』》