験家の韜略
験家の韜略
げんけのとうりゃく
験家とは修験者(修法師)のこと。
韜略とは中国兵法の古典『六韜』六巻と『三略』三巻のこと。
この二つの古典は兵法の極意書とされ、転じて韜略とは極意書、奥伝、虎の巻などの意味をさす。
明治二一年(一八八八)に斉藤義鑒は『法華験家訓蒙』六巻を著した。
本書が著される以前、ことに江戸時代から本宗の修験者に対して、他宗の僧から「努声ノ誦経、音調麁鋭ニシテ」聞く者に不快感を与えると批判があった。
また明治に入ってからは、諸外国の思想文化の流入によって、無宗教者や宗教批判者が多く現れるばかりでなく、宗内の宗学者からも修験者に対して軽視するむきがあった。
更に医療との関係から「祈祷取締規定」(明治七年、一五年)が出されるなどの諸事情があっただけに、本書の刊行にはそれだけの意義があった。
従って本書に対して比企谷の藤原日迦(後に池上本門寺住職、大正五年=一九一六=一月、日蓮宗第二〇代管長)は「真に験家の韜略」と称賛した。
即ち『法華験家訓蒙』は修験者の奥伝、極意書ともいうべきであると激賞した語句をいう。
《『法華験家訓蒙』、『中国史籍解題辞典』(燎原書店)「六韜(りくとう)」「三略(さんりゃく)」の項》