阿練若
阿練若
あれんにゃ
原語はaraṇya。
阿蘭若・阿蘭那・阿蘭拏・阿練茹等に作り、無諍声・閑静処・空閑処と訳す。
森林、原野や荒地などを含めて、仏道修行の比丘の住処をいう。
法華経勧持品偈に出る語。
有部毘奈耶第二四に「阿蘭若住処に在りとは、村を去ること五百弓にして、一拘盧舎krośaあるを阿蘭若処と名づく」とあり、村の境界から五百弓(一弓とは四肘で約六尺)凡そ一〇〇〇(メートル)以内の範囲にその住処を規定している。
即ち修行者が乞食するのに便利で、しかも虎狼などの危険のないところを指定している。
初期大乗経典では阿蘭若住を強調するものがあり(郁伽長者経)、阿蘭若住の一〇種の利を挙げる。
阿蘭若比丘は、一に出家在家を遠離すと説かれ、その真摯な修行は、大乗仏教の源流を拓いたと考えられる。
日蓮聖人は『法華初心成仏鈔』において法華経勧持品の文を引用し、三類の強敵の第三類にあたる僭聖増上慢が、三衣一鉢を帯し、阿練若に身を隠して世間の人々の帰依を受け、法華経の行者を讒し仏法に仇をなすことを挙げ、これを「阿練若の僧」と表現している。
ほか『唱法華題目抄』『立正安国論』『開目抄』等にもみえる。
《望月良晃「大乗諸経典にあらわれた阿蘭若住の問題」『大崎学報』一二四号、『遺文辞典』歴史篇「阿練若」の項、『岩波仏教辞典』「阿蘭若」の項》