造仏論義
造仏論義
ぞうぶつろんぎ
一巻。
広蔵日辰(一五〇八-七六)著。
永禄元年(一五五八)述作。
『宗全』三巻「本門宗部」所収。
日辰は興門派に属し、日像に遅れること三〇年余にして京都弘教をした日尊の流れを汲む京都要法寺一三世である。
日蓮聖人門下各派の中で、富士派は色相荘厳の仏像の造立を否定する。
この事は他の諸門派ではみられないところである。
本書は興門における日辰の教学の特色の一つを示すものである。
冒頭に「問う本門円宗の意仏像造立の義を許すや。答う然るべき也」(『宗全』三巻四四一頁)とあるように、仏像の造立すべき事を主張し、大石寺の不造論に対決せんとしたものである。
構成は全一三番問答から成り、問難に対して細かく答釈している。
大石寺の不造論は種脱論・本仏論によって、釈迦仏を脱仏とし、末法下種の能化仏ではないとする。
下種は必ず本因であり、本因は名字実仏であるから今末法は名字実仏を本尊とする、として造仏を否定する。
これに対して日辰は釈迦仏は脱益の仏であるけれども、久遠元初の自受用身の如来は下種の仏であるとし、この本果妙の自受用報身のみ真の本尊であるから、造像するを妨げないとする。