船守弥三郎夫妻入信の弁
船守弥三郎夫妻入信の弁
ふなもりやさぶろうふさいにゅうしんのべん
繰り弁の一つ。
川奈の漁師船守弥三郎夫婦が、日蓮聖人の教化に浴する情景を語った段。
「由比浜の弁」、「爼岩の弁」と共に、伊豆流罪を語る一節で、一般に「爼岩の弁」と合せて語られる。
聖人は弘長元年(一二六一)五月一二日、伊豆伊東へ流罪となり、爼岩に置き去りとなるが、弥三郎に助けられ、夫婦の庇護を受けかくまわれることになった。
本弁は弥三郎の船の帰りを待っていた女房が、船の中の聖人の姿を見て驚く。
しかし弥三郎の敬服した態度に、女房も力を合せて聖人を家の中に入れる。
聖人の人格に触れた夫婦は、なぜ流罪に遭ってまで法華経を弘めなければならないか、何故に念仏が悪くて、お題目が有難いのかを問う。
聖人は「法華の題目ならでは、現世の安穏と未来の成仏はできぬ」ことを説く。
夫婦はその尊さを知り、聖人に母親の十三回忌の回向を願う。
その読経の声を聞きながら夫婦は聖人への帰依を決心する。
という内容で、信仰者の手本としての弥三郎夫婦の姿を通して、法華経とお題目の功徳とを信者に語る弁である。