真言諸宗違目(一〇六)
真言諸宗違目(一〇六)
しんごんしょしゅういもく
一篇。
日蓮聖人著。
文永九年(一二七二)五月五日系年。
真蹟七紙完、中山法華経寺蔵(重要文化財)。
真蹟の第四―七紙は表裏記載につき全一一丁。
聖寿五一歳。
著作地佐渡一谷。
対告者富木氏。
題号は自題ではない。
対告者や内容から『弟子檀越中書』『土木殿諸宗異目鈔』『土木殿等人々御中』『諸宗違目事』等の異称がある。
『昭和定本日蓮聖人遺文』所収。
端書に「早々に御勉を蒙らざる事はこれを歎くべからず。
(略)日蓮の御免を蒙らんと欲するの事を色に出す弟子は不孝の者なり」(定六三八頁)と述べられているところをみると、この頃鎌倉の弟子檀越等の間に聖人の流罪赦免を願う動きがあったものと思われる。
本書はこれを聞いた聖人が、富木氏を始めとする人々に法門の教示とともにその動きを諭されたものである。
その内容は真言宗を始めとする諸宗と法華経の邪正を明かして弘法の人の勝劣を説き、法華経の記文の通り大難を蒙った日蓮こそ正法弘通の法華経の行者であるとし、諸天の加護を蒙らない理由を示して赦免運動などの不必要を説き、人々を訓戒されたものである。
《『遺文辞典』歴史篇「真言諸宗違目」の項》