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九識

くしき #368

九識

くしき

眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識・阿陀那識・阿梨耶(阿黎耶)識・阿摩羅(菴摩羅)識の九識をいい、またその第九である阿摩羅(菴摩羅)識をさす。
これは一般の唯識説また法相宗で立てる八識に、第九識を加上したものであって、元来、真諦(Paramārtha=四九九-五六九)が伝訳した唯識説、またそれに基づいて成立した摂論宗において主張された学説である。
阿摩羅(amala)識は無垢識と訳され、第八阿梨耶識が転依した果である佛の浄識をさす。
一般の唯識説また法相宗では、この仏果の浄識を別立することはないが、真諦の唯識説及び摂論宗においては、これを第九識として別立したのである。
従ってそこに独特の意味があると見られるが、恐らく阿摩羅識は三乗・五姓にわたる一切衆生の成仏を可能ならしめる仏性をさすものであって、それを唯識説の組織に準じて識と称したのであると解される。
また阿摩羅識の体は常住の法たる真如あるいは真如智であって、法相宗が仏の無垢識を有為法たる第八識に摂せしめるのと異なる。
阿摩羅識及び九識の語は真諦が訳出した『決定蔵論』『三無論』『転識論』『十八定論』等に出る。
また『大乗密厳経』には九種心と無垢識を説き『金剛三昧経』『大仏頂首楞厳経』等には菴摩羅識を説いている。
摂論宗の影響を受けた慧遠は『大乗義章』に第九阿摩羅識を説いている。
智顗の『金光明経玄義』(巻上)に「菴摩羅識は是れ第九不動識なり、若し之を分別せば即ち是れ識なり。 阿梨耶識はち是れ第八無没識なり」と述べ、また『法華玄義』(第五下)に「菴摩羅識はち真性軌、阿黎耶識はち観照軌、阿陀那識はち資成軌なり」と述べている。
法相宗と法性宗を対比する場合、法性宗に属すると見られる天台宗華厳宗等は、総じて第九識を認めるものであるということができる。
《勝又俊教における心識説の研究』三編二章、『遺文辞典』教学篇「九識」の項、『日蓮辞典』「九識」の項

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