文殊問経
文殊問経
もんじゅもんきょう
「もんじゅもんぎょう」とも。
詳しくは『文殊師利問経』と称し、略して『文殊問般若』ともいう。
梁の僧伽婆羅訳。
上下二巻。
梁天監一七年(五一八)訳出。
『正蔵』一四巻所収。
巻上一四品、巻下三品の全一七品よりなる。
文殊師利菩薩の問いに応えて菩薩戒・般若・二乗の煩悩・聖行処・中道・世間戒・出世間戒・上出世間戒・発菩提心・仏法の分裂・雑難解釈・諸功徳等を説く。
日蓮聖人は『十章鈔』『本尊問答抄』等に四種三昧の依文として『般舟三昧経』や『請観音経』と共にその名をあげられている。
天台大師は『摩訶止観』巻二に常坐三昧の文として『文殊問般若』をあげており、これを『摩訶止観私記』巻二上は『文殊問菩提経』と釈している。
従って聖人が四種三昧の依文として引用される『文殊問経』は『文殊師利問経』ではなく、羅什訳の『文殊師利問菩提経』を指すのではないかと思われる。
四種三昧の内、常坐三昧は、この『文殊師利問菩提経』や、僧伽婆羅訳の『文殊師利所説般若波羅蜜経』等によって立てられ、聖人はこれを『文殊説文殊問の両経』(『一代五時継図』)、「文殊説経文殊問経」(『一代五時継図』)、「常坐三昧は文殊問等」(断簡五二)と表記されている。
《『遺文辞典』歴史篇「文殊問経(もんじゅもんぎょう)」の項、『大蔵経全解説大事典』「〇四六八・文殊師利問経」の項、『大乗経典解説事典』「文殊部」、『仏書解説大辞典』「文殊師利問経」の項》