一乗要決
一乗要決
いちじょうようけつ
三巻。
源信(九四二-一〇一七)著。
寛弘三年(一〇〇六)作。
『正蔵』七四巻、『恵心僧都全集』二巻所収。
天台教学に立脚して法華の一乗思想を強調し、一切衆生悉有仏性の義を明らかにし、法相宗の五性各別説を破折した。
内容は八門に分けて、(1)法華経から十文を引いて一乗真実の旨を明かし、(2)他の経典から二乗作仏の文十九文を引き、(3)二乗の廻心について論じ、(4)一切衆生が成仏することを明らかにした文証を引き、(5)二乗が永遠に成仏出来ないという主張に反駁し、(6)成仏する素質を欠いた衆生が実在すると固執する説に反証し、(7)仏性についての種々の論の優劣を論じ、(8)に教に権実の差別があることを論じて、法華の一乗常住仏性をもって究竟真実の教であると強調している。
日蓮聖人は『守護国家論』で源信が観想の念仏を説いた『往生要集』と『要決』とを比較して、著作の前後関係から源信の本意は法華一乗を説いた『要決』にあるとし、『要集』を法華誘引の書とする好意的源信観を示している。
また『要決』の「日本一州円機純一」の文を引用して、法華経の末法日本国弘通の必然を証する文証としている。
《『遺文辞典』歴史篇「一乗要決」の項》