三大部随聞記
三大部随聞記
さんだいぶずいもんき
心性日遠(一五七二-一六四二)著。
『法華玄義聞書』八巻、『法華文句随問記』一三巻、『止観随聞記』一六巻の三書の総称である。
近世初頭日蓮宗教学界は原始天台の研究に一変し、天台の三大部の講述が盛んとなった。
その原点と目されるのが仏心日珖の三大部講義で、後に三光無師会とよばれるこの講会から本宗の天台学が開かれたといわれるが、この会下に参じて近世前期の教団の動揺期に指導者としてその方向を定めたのが一如日重で、日重もまた本国寺で三大部を講じている。
この日重の講莚に侍した弟子日遠が、その講義を筆録したのが『三大部随聞記』で、『玄義』『文句』『止観』の聞書を修正して整筆したものである。
『文句随問記』も初めは「随聞記」と題したが、のちこれを門下の問に従ってその草案を整理したので改題されたという。
本書は純粋な天台学の立場から述作されたもので、宗学の立場から見ると多くの問題を含んでいる。
述作の根本的姿勢が円体無殊の立場にあるからである。
従って不受不施の安国日講らの批判の対象とされた。
しかし本宗のその後の教学思潮に及ぼした影響は大きく、近世檀林の天台心酔の傾向は、この日遠の天台学研究書『三大部随聞記』を起因としているということができる。
それは日遠の思想によって近世諸檀林が形成されたからである。