妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

土牢の弁

つちろうのべん #1215

土牢の弁

つちろうのべん

繰り弁の一つ。
文永八年(一二七一)の竜口法難に際し、日蓮聖人の弟子達は鎌倉の宿屋左衛門入道の邸内にある土牢に投ぜられた。
その中の筑後房日朗の師を思う情景を語った段。
一般に文八と呼ばれる一連一三講話中の一つで「朗師土牢の弁」とも言われる。
本弁は松葉谷の草庵で日進と共に捕えられた日朗が、宿屋の土牢に閉じ込めの身となりながらも、聖人の安否を気遣い御題目を唱える日々を送っている。
ある日、一通の手紙が届く。れは相模の依智より佐渡の配所へ出発する聖人からのもので、「日蓮は明日佐渡の国へまかるなり。今夜の寒きにつけても、牢のうちのありさま、思いやられていたわしく候へ」と、日朗の身を案じ、法華経色読を讃え、の加護を説き、再会を期したものであった。
日朗は、聖人佐渡流罪を知り、その無を願って土の尊像を造り、断食をし陰膳をそなえて給仕する。
その心に感服した牢番人が、日朗を人知れず牢から出して、佐渡聖人に面会させてやろうとするという内容で、日朗の孝心と牢番人の心情、聖人の慈愛ある温情を語る弁である。
《『遺文辞典』歴史篇「土籠(つちのろう)」の項》

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