顕立正意抄(一五六)
顕立正意抄(一五六)
けんりっしょういしょう
一篇。
日蓮聖人著。
文永一一年(一二七四)一二月一五日述作。
五三歳。
著作地身延。
真蹟は現存しないが、日春写本が沼津市岡宮光長寺に存する。
対告者は弟子檀那一同。
題号は『立正安国論』の意を顕すという意味。
本書は『立正安国論』に予言した内乱・外冦の二難が少しも違わず的中したことを契機として執筆された。
即ち文永九年二月一一日の北条時輔らの謀叛によって自界叛逆難は事実として的中し、文永一一年一〇月五日、蒙古の大軍は対馬・壱岐を襲った。
ここに他国侵逼難の予言も符合し、その一月後、日蓮聖人は再び『立正安国論』の趣旨を明らかにし、弟子檀越を勧誡せんとして本書を著したのである。
内容は、まず『立正安国論』の自叛・他逼二難予言の文を掲げ、過去の釈尊の予言が的中した例を引いて、現在の聖人の予言的中の事実を信じないことを嘆いている。
次に『安国論』の未来堕獄の文を掲げて、現在の予言の的中から推して未来の予言も必ず的中し、法華経不信の謗法罪によって日本の国民は無間地獄に堕ちることは必定であると断言し警告している。
そして聖人の弟子檀越の中でも信心薄い者は地獄に堕ちるであろうと誡めて、不惜身命の信仰を貫くように勧めたものである。
《『遺文辞典』歴史篇「顕立正意抄」の項》