雪山童子
雪山童子
せっせんどうじ
『涅槃経』の聖行品(正蔵一二巻四四九-四五一頁b、六九一頁b-六九三頁b)に説かれる童子である。
釈尊が過去世に菩薩行を修した時の名である。雪山婆羅門ともいう。雪山に住して修行したためにこの名がある。
昔、雪山に、外道に通達してはいたが、仏法に対しては無知な童子がいた。
童子が修行している時、大鬼神が現れ「諸行無常 是生滅法」という偈を語った。
童子は大いに悦んだが、その偈だけでは完全なものではなく、後文を説くようにと願ったが、鬼神は「飢えのため心乱れて説けない」と返答した。
「何を食べるのか」と童子が聞くと「人間の血肉を食う」と答えた。
童子は更に「自分の血肉を提供するから後文を説きたまへ」と請うたが鬼神は信用しなかった。
そこで童子は「では、梵天・帝釈・日月・四天の前で誓う」とまでいったので、鬼神も信用し「生滅滅已 寂滅為楽」と説いた。
童子は木や石にそれを書きつけ、遂には鬼神の口に身を投げ入れてしまった。
ここにいう童子とは今の釈尊であり、鬼神は帝釈天であったという。
日蓮聖人は『日妙聖人御書』(定六四二-三頁)、『松野殿御返事』(定一二六七-七一頁)等に雪山童子の死身求法の物語を説いている。
《『遺文辞典』歴史篇「雪山童子」の項、『日蓮辞典』『岩波仏教辞典』「雪山童子」の項》