閻魔王
閻魔王
えんまおう
梵語Yama-rāja閻魔王・閻羅王とも書く。
閻魔の語義は抑制・禁止などの意味を持ち、死者の霊を捕縛する「縛」とも、平等に罪福を判定する意の「平等」とも訳されている。
閻魔王とは地獄にいる裁判官のことで、死後の世界の支配者。
死者の罪を裁く地獄の主と考えられてきた。
もともとはインド神話やバラモンの冥府の神が仏典に入ってきたもので、仏典では地蔵菩薩の化身等種々の説がる。
中国・日本での閻魔信仰は中国の民間信仰が混入し、中国・日本で偽作された『十王経』などが大きな影響を与えて大衆の間に地獄観の隆盛と共に浸透していった。
日蓮聖人の『十王讃歎鈔』(『昭和定本』続篇三巻収録)は文献的には一五世紀頃に偽作されたものと推定されているが、聖人の遺文の死後の問題を扱った箇所にこの閻魔信仰が窺われる。
「されば日蓮は日本第一の法華経の行者也。
もしさきにたたせ給はば、梵天・帝釈・四大天王・閻魔大王等にも申させ給べし」(定三二七頁)。
「又若し命ともなるならば法華経ばし恨みさせ給ふなよ。
又閻魔王宮にしては何とか仰せあるべき」(定九九六頁)。
このように法華信者には閻魔の保護が、逆に法華信仰の弱い者、謗法者には閻魔の裁きが下るという確信を持っていられたようで、閻魔王もまた法華信仰の中に組込まれているのである。
《『遺文辞典』歴史篇「琰魔王・閻摩王」の項、『広説仏教語大辞典』「閻魔王」の項、『岩波仏教辞典』『図説仏教語大辞典』「閻魔」の項》