法華題目和談抄
法華題目和談抄
ほっけだいもくわだんしょう
一巻。
草山元政(一六二三-六八)著。
万治三年(一六六〇)元政三八歳の時、八〇歳の老母の求めに応じて、母の信心円成を願い、妙法蓮華経の題目の奥義を平易な和文で懇切丁寧に解説し、法華経信仰の心髄を明らかにした書。
元政はこの前年、老母と共に父の遺骨を抱いて身延山に参詣し、奥之院に登って埋骨供養をすませ、江戸を回って帰山している。
孝子元政は母と手をつなぎ宿願の身延登山を果して、あとは母の臨終正念をのみ祈念していた。
この書の序文に「母もやつがれも、うき世にのこる願もなし。母にはただ題目こそ、此のうへの御つとめとすすむれば、さあらば題目五字のようもんを説き聞かすべしと、御たづねにまかせ筆を染め侍る」とあり、その述作の趣旨は明瞭である。
文体は和談と名づけられているように、老女にも一読して解了できるような心配りがされているが、その内容は法華教学の深遠な思想が遺憾なく説かれ、元政の多年の教学研鑽の成果が傾けられた書であり、法華信仰者の絶好の指針の書といっても過言ではない。
本書は上・中・下に分れ、最後に「釈迦如来御恩ふかき事」「御臨終の大事」の二文が加えられている。
この書の刊行年時は元文五年(一七四〇)、絵入り、本文五九丁。
この版本の影印縮少版として『草山拾遺』上巻(昭和五三年本満寺発行、梅本正雄編)がある。
また同下巻に現代表記化した平楽寺蔵版が収録されている。
『国文東方仏教叢書』二輯所収。