九部経
九部経
くぶきょう
九分経、九分教、九分法ともいう。
仏教の初期の経典は、現在五部四阿含に分類されて伝えられているが、古くは教法が九種、あるいは一二種に分類されていたと推測される。
即ち九部経、十二部経である。
九部経と十二部経の間の前後については異説があるが、九部経が増広されて十二部経となったとする説が有力である。
九部の分類項目についても、記述している経典によって相異があり、順序も不同である。
パーリ聖典には一例として、(1)修多羅、(2)祇夜、(3)受記、(4)伽陀、(5)優陀那、(6)伊帝目多伽、(7)闍陀伽、(8)毘仏略、(9)阿浮陀達磨とあり、『大般涅槃経』金剛身品にあるものも同じである。
他に『十住毘婆沙論』念仏品、『大集法門経』上巻等にも出すところがあるが多少異なり、『法華経』方便品には、(1)修多羅、(2)伽陀、(3)本事、(4)本生、(5)未曽有、(6)因縁、(7)譬喩、(8)祇夜、(9)優波提舎経をあげる。
法華経と『涅槃経』所説のものの相異は前者が、十二部経の中の受記、優陀那、毘仏略を欠き、後者が因縁、譬喩、優波提舎を欠いている点にある。
中国において法華経所説の九部を小乗の九部、『涅槃経』所説の九部を大乗の九部と解釈するものがあるが、本来は九部に大小乗の区別があるわけではない。
《『遺文辞典』教学篇「九部法(くぶのほう)」の項、『天台学辞典』『岩波仏教辞典』「九部経」の項》