業通
業通
ごうつう
五種通力の一つ。
中有の身及び鬼神、狐狸等の如く、宿業によって自然に得る通力をいう。
『倶舎論』九に「一切の通の中、業通最も疾なり。
空を凌ぐこと自在なる是れを通の義と謂う。
通は業に由て得るを名づけて業通と為す。
此の通の勢用速なるが故に疾と名く。
中有は最疾の業通を具得す、上世尊に至るまで能く遮抑するもの無し、業の勢力最も強盛なるを以ての故なり」とある。
これは神足通に約して中有の業通の最も速疾なことを説いているが、業通とは五神通の中、他心通を除く神足(神境智証通)・天眼・天耳・宿命の四通の中、業力によって、成ぜられる通力であるから四通各々に業通がある。
五種通力とは五種通ともいい、身口意の三業が通用無礙であって、変化自在に行為することができる通力をいう。
(一)道通=中道実相の理を証悟して得る所の菩薩の通力で、凡てに、真に自由無碍である。
(二)神通=神とは心神のことで、心を凝し、定を修して得る。
阿羅漢の通力と同じく、自在である。
(三)依通=薬餌、符咒に依憑して得る通力で、神仙の霊変自在のようなものをいう。
(四)報通=または業通=果報として自ら得るところで、諸天の変化、神龍の隠変の如きものをいう。
(五)妖通=妖怪の然らしむるところ、老狐狸、古木の精等の奇変を為す類をいう。
報通ともいう。
《『遺文辞典』教学篇「業通」の項》