妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

東春

とうじゅん #3546

東春

とうじゅん

(一)中唐代の台の学僧智法師の住んでいた所の地名。
また智法師自身を指す。
台第六祖妙楽大師の高弟といわれ、道邃・普門・行満らと共に妙楽の後を継いで活躍、学の高揚に努めたと伝えられる。
ただし伝記等は現存せずその生涯は詳かではない。
著書に『台法華疏義纉』がある。
(二)智法師(東春)の『台法華疏義纉』(てんだいほつけしよぎさん)の異称。
台法華疏義纉』は単に『義纉』ともよばれ、台の『文句』・妙楽の『文句記』の注釈書である。
従って『法華文句東春』ともいう。
全六巻。
『玄義』によって釈名・弁体・明宗・論用・判の五重玄を概説し、次に『文句』・『記』の詳しい注釈を加えている。
『続蔵』一・四五・三収録。
日蓮聖人も「東春に云く」「智云く」としばしば引用している。
『開目抄』には「東春に云く、問ふ、在世の時許多の怨嫉あり、仏滅度の後此の経を説く時、何が故ぞ亦留難多きや。答えて云く、俗に言うが如きは良薬口に苦しと云々」(定五五八頁)とあり、勧持品三類の強敵に関して『義纉』を引いて詳説するが、それは「東春の明鏡」が「一分のくもりなし」に合致することからの実証明であった(『開目抄』定五九一・二頁)。
そこでの引文は「東春に智度法師云く、初に…又云く、常在大衆より下の両行は公処に向って法を毀り人を謗ず等云云」であり、勧持品二〇行の偈の第三僣聖増上慢を明す個所を日蓮聖人は引用し、自身の法華経行者を実証して、資格十分なことの明証としたのであった。
右引の東春の辞「両行向公処」は『行敏訴状御会通』において良観らの訴状における訴因十条のうちの一条に「又云、両行向公処等云云」(定四九九頁)とある。
日蓮聖人は僣聖増上慢者良観たちを指して勧持二〇行中「常在大衆中」以下の「両行」に的確に見合う最人と厳正に批判した。
それへの良観らの反批判として「両行向公処」の実行犯としての名指し批判を逆手にとって日蓮聖人非難告発の一条としたものである。
《『遺文辞典』歴史篇「東春」「智」の項》

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