妙経宗義鈔
妙経宗義鈔
みょうきょうしゅうぎしょう
一二巻六冊(日薩跋文には「鈔凡十七巻」とある)。
優陀那院日輝(一八〇〇-五九)著、新居日薩(一八三〇-八八)校訂。
「妙法蓮華経宗義鈔」、略して「妙経宗義鈔」または単に「宗義鈔」という。
著作年は日薩の本書「跋」に「先師嘗て経尾より逆次に品を逐て鈔解し、纔に涌出に至て曾々病して化す。功未だ畢らずと雖も、本門已に備る、偶然ならざる者の若し」と。
『日輝和上伝記』(充洽園全集第五編収)にも「一、宗義抄は病の中にもよりより筆を下し、八の巻普賢品より始て五の巻涌出品にて止りぬ。下よりさかのぼり、半に留りしは、本門肝要なる故に一期の終りに書きおきし、かたかた謂れあることにやと思ひしられしなり。一、安政二年の頃より四大不調の病にかゝりしも心とせず、護法の意いと深く、大衆も更に離散せず、学業も日々に新なりしかども、終に同六年未二月廿三日六十歳にて涅槃に入りしなり」とあり、安政二年(一八五五)より遷化までの間における著作である。
『充洽園全集』第一編収。
全集所収の一二巻本により品に巻を配当すると、涌出品二巻、寿量品二巻、分別品一巻、随喜品・六根品一巻、不軽品一巻、神力品・嘱累品一巻、薬王品一巻、妙音品一巻、普門品・惣持品一巻、厳王品・勧発品一巻である。
述作由来は日薩の「跋」によると、天台の『法華玄義』『法華文句』によるのみでは宗義は顕れず、また聖人に『註法華経』『御義口伝』があるが、辞微かにして意遠き故に、遂にこの鈔を講述するに至ったと。
本鈔に『妙経宗義鈔』と題した所以はここにある。
科文は日薩も指摘しているように『文句』を踏襲して初学に便宜を与えているが、文々句々の解釈においてはよく宗祖の意を体して施された跡の歴然たるものがあり、殊に涌出品・寿量品・神力品の解釈において発揮されるところが大きい。
また本書によって茫乎たる『文句』の要領を得ることも可能である。
《新版『充洽園全集』解説、望月歓厚『日蓮宗学説史』、渡辺宝陽『日蓮宗信行論の研究』》