唯信鈔
唯信鈔
ゆいしんしょう
一巻。
安居院法印聖覚(一一六七-一二三五)著。
法然滅後一〇年、承久三年(一二二一)八月作。
『続浄土宗全書』第四巻所収。
本書は『選択集』の意によって念仏往生の要義を和文で平易に説いたものである。
初めに聖道浄土の二門を叙し、聖道を捨てて浄土に帰し、雑行を抛ちてひとえに専修念仏することを勧め、次に念仏の行者は必ず三心(至誠心・深心・廻向発願心)を具すべきことの趣旨を明らかにして大願業力の不思議を強調し、最後に世人の念仏に対する疑問や質問を四カ条出してそれに答えている。
本書執筆の意図は、法然滅後ますます盛んになった一念多念その他の論争に終止符を打ち、『選択集』所説の念仏が単称無信の称名ではなく必具三心の念仏であることを明らかにしようとしたものである。
親鸞はこの書を幾度か書写し、また注釈し(『唯信鈔文意』)、門徒にその読書を勧めている。
なお『守護国家論』に「其の義を訪ふ者には仮字を以て選択の意を宣べ」(定一一七頁)とあるが、本書もあるいはその中に含まれているかと思われる。
《『大蔵経全解説大事典』「二六七五・唯信鈔」の項、『仏書解説大辞典』「唯信鈔」の項》