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伝燈鈔

でんとうしょう #573

伝燈鈔

でんとうしょう

久遠成院日親(一四〇七-一四八八)著。
文明二年(一四七〇)著。
『宗全』一八巻所収。
本鈔の奥附には著作年月日の記載なし。
しかし文中に「日親ハ去ル生年二十一歳春二月八日ヨリ弘通ヲ始行シテ今年六十四歳ニ至ルマデハ四十四年也」とあるから、文明二年の著作である。
日親がこの書を述作したのは『伝燈鈔』の名が示すとおり、日親自身の日蓮聖人からの正統を示すためのものであろう。
冒頭に「当流相承次第并ニ諸門相違ノ」と標題を設定したのはこのためでもある。
なお日親の正統についての主張は、他門流の態度を謗法として糾弾する上で成り立つ。
これは日蓮聖人にならった日親の壮烈な受難の宗教活動が、その論を支えている。
まず中山門家の批判よりはじまって「日向門家ノ」・「日朗門家ノ」・「六条門家ノ」・「日昭門家ノ」・「日興門家ノ」・「日什門家ノ」というように項目を挙げて、当時有力な門を糾弾している。
日蓮聖人以来の正しい血脈を継ぎ、仏法の正統を相承する、唯一絶対的な日親自身の立場を確立し、はっきりとこれを打ち出したものといえよう。
なお『伝燈鈔』には、日親がその伝道生活の途上で、実際に目で見、耳で聞いた宗門の動向が、激しい批判の言葉とともに綿々と書き綴られているが、その内容は実に具体的で、一四・五世紀における日蓮宗の動向をうかがう上で、数多くの基本的な史料を提供する貴重な書ともいえる。
《中尾堯『日親―その行動と思想―』》

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