街頭布教
街頭布教
がいとうふきょう
街頭に進出して道行く人々に呼びかける布教である。
高座の上で行う説教や、演壇で説く講演や座談で語る法座法話はすべて参詣者、集会者を対告衆とするので、いわば順縁の信者であるが、街頭布教は不特定多数者を対象とするので形式も内容も異なる。
辻説法が日蓮聖人の布教の特色といわれているところをみると、街頭布教は辻説法の現代版ともいうことができる。
あわただしい街頭の呼びかけは、説教講演と異なって、長時間をかけて、ゆっくり語るという状況にないので、力強く簡明に説くことを主眼としなければならない。
未信者、背信者あり、中には既信者、篤信者も交る大衆の中で説くのであるから、本化の弟子僧としての挙措動作に注意すべきは当然で、身延山街頭布教隊が決めた黒居士衣に木蘭五条、天台笠に手甲、脚絆という旅姿が矢張り最も似つかわしいらしく、現在全国各地で行われている街頭布教が殆どこの姿に期せずして統一されている。
この服装は僧形とすれば最も簡略な形式であり、僧階の如何にかかわらず僧侶なら誰人にも用いられるからである。
説教、講演、法座法話は信仰の維持、高揚にとって、重要な布教であることはいうまでもなく、一層盛んに行われんことを願うものであるが、来たるを待つ、という態度から積極的に出掛けて説くという街頭布教は、今後において更に推進さるべき布教の方法である。
身延山街頭布教隊が各地へ出動して以来、全国的に各地で街頭布教隊が結成され、月例に出動布教し、また宗祖七〇〇遠忌を目指してのキャンペーンに、歳末助け合い運動に、更に災害救援に活躍している現状は、更にこれが広く、多く行われるようになれば、宗門の新生面を開く力となるであろう。
そして街頭布教こそ日蓮聖人の辻説法という布教の原点につながる正統的弘通態度であることが知られる。