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瑜伽宗

ゆがしゅう #4130

瑜伽宗

ゆがしゅう

インドの大乗仏教には二つの学派が存在し、中観・瑜伽と称せられる中の一である。
一般に瑜伽行派または唯識学派という。
瑜伽(ヨーガyoga)ち精神統一の実践を行い、唯識説という哲学的義を説く。
唯識説とは一切諸法は心の表象(識)であって、対象界は心の外に実在するものでないと主張するものである。
そこで心作用の中心に阿頼耶識なるものを立て、この中に蔵されている種子より万物があらわれ出るという論を組織している。
開祖は弥勒菩薩(マイトレーヤMaitreya)であるとされ、その著に帰せられる論が六種ないし七種伝えられているが、弥勒を歴史的人物であるとする見方と、祖に仮托されたものであるとする見方がある。
弥勒の諸論のうち『瑜伽師地論』が重要であって、瑜伽宗、瑜伽行派の名称は主としてこれに基づいている。
伝承によると弥勒の諸論は無着(アサンガAsaṇga=三〇〇-四〇〇年頃または四〇〇-五〇〇年頃)によって世に弘められたが、無着は肉弟の世親(ヴァスバンドウVasubandhu天親)と共に、この派の義を大成した。
無着の主著は『摂大乗論』、世親の主著は『唯識二十論』『唯識三十頌』等である。
世親以後は『唯識三十頌』に対する註釈学的研究が一つの課題となり、十大論師がこれに註釈を著した。
主な学者に陳那(ディグナーガDignāga=四八〇-五五〇)、無(アスヴァバーバAsvabhāva=五〇〇-五六〇)、難陀(ナンダNanda=四八〇-五五〇)、安慧(スティラマティSthiramati=五〇〇-五七〇)、護法(ダルマパーラDharnapāla=五三〇-五六一)らがいる。
これらの学者により、この派の学説は一層精密化されて発展した。
護法の学説を中心とするこの派の義は玄奘(六〇〇-六六四)により中国に伝えられて法相宗となり、中国・日本の界に多大の影響を与えた。
玄奘以前においてもこの派の学説は中に伝えられている。
菩提流支(Bodhiruci)により伝えられたものは地論宗となり、また真諦(Paramārtha)によって伝えられたものは摂論宗となったが、いずれも学系が絶え、法相宗のみが後世まで持続した。
《『広説仏教語大辞典』『新版仏教学辞典』「瑜伽」の項、『岩波仏教辞典』「瑜伽行派」の項、宇井伯寿『大乗中心思想史』》

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