二十五方便
二十五方便
にじゅうごほうべん
天台でいう止観正修のための準備段階の修行。
(1)具五縁=持戒清浄―禅定を得るためには、まず戒を持して清浄なることを要する。
衣食具足―修行を行うためには、衣食の心配があってはならない。
閑居静処―静かなる処に閑居する。
息諸縁務―諸の雑事をやめる。
近善知識―外護・同行・教授の善知識を得る。
(2)訶五欲=訶色―男女の形貌端厳、世間の宝物等に対する色欲を断ずる。
訶声―美妙なる音・声に対する声欲を断ずる。
訶香―男女の身香、世間の飲食香に対する欲を断ずる。
訶味―美味に対する欲を断ずる。
訶触―男女の身の柔軟・細滑などの接触欲を断ずる。
(3)棄五蓋=貪欲・瞋恚・睡眠(すいみん・すいめん。身体と心のはたらきを鈍らせて睡眠に陥らせる精神作用のこと。睡眠と惛沈(こんじん。心身を沈み込ませる精神作用)を合わせて惛眠といい、五蓋として数える場合には、睡眠蓋もしくは惛眠蓋といわれる)・掉悔(じょうけ。掉挙と悪作のこと。掉挙は心を高ぶらせ騒がせる精神作用。悪作は悔ともいい、自分が為した行為について悔やむこと)・疑の五種の煩悩をすてる。
(4)調五事=心を不況・不浮に調え、身を不緩・不急に調え、息を不渋・不滑に調え、眠を不節・不恣に調え、食を不飢・不飽に調える。
(5)行五法=欲―世間の一切の妄想顛倒を離れ、一切の諸の禅定智慧の門を得んことを欲する。
精進―堅く禁戒を持ち、五蓋をすて、初・中・後夜に勤行精進する。
念―世間の欺誑は軽んじ賤しむべきであり、それにひきかえ禅定智慧は重んじ貴むべきであると念ずる。
巧慧―世間的な楽と出世間の禅定智慧の楽とどちらが大事であるかを考える。
一心―心を落ち着けて、明らかに世間の患うべく悪(にく)むべきを見、よく禅定智慧の功徳の尊むべく貴むべきを知る。
『摩訶止観』では、以上の二五の準備を経てのちに、正修の十乗観法を行う。
《『遺文辞典』教学篇「二十五法」の項、『天台学辞典』「二十五方便」の項》