柄香炉
柄香炉
えごうろ
手炉ともいう。
柄香炉の効用は、居香炉と異なり身辺に持することができるため、いつでも焼香をすることができるというところにある。
起原は『浄飯王般涅槃経』に「仏、手に香炉を執りて喪前に進み出で、葬所に引導す(略)」とあるのを見ても、又、ガンダーラの彫刻の中に柄香炉を持つ仏像があることから推してもかなり古くからつかわれていたものと思われる。
わが国には仏教伝来と共にもたらされ、法隆寺所伝、東京国立博物館蔵の鵲尾形(しやくびがた)柄香炉は、飛鳥時代のものと言われている。
そして柄香炉は、大別して四種に分類されている。
即ち(一)鵲尾形柄香炉-柄の末端が鵲尾の形をしているところから名付けられたもので、飛鳥時代のもの。
(二)獅子鎮柄香炉-柄の末端に獅子型の鎮子を置いたもの。
中国唐代に始まるものでわが国では奈良時代に盛んに用いられたもの。
(三)瓶鎮柄香炉-柄の末端に水瓶型の鎮子を置いたもので、平安時代から用いられるようになったもの。
(四)蓮華形柄香炉-全体が蓮華の形をした柄香炉。
炉は開敷蓮華で蓮肉の上に蓮蕾の形をした釼をたてて蓋とし、蓮実を透して煙出しとしてある。
台座は蓮華を伏せた形とし、柄は蓮茎を型どっているもので鎌倉時代以後用いられるようになったもの。
などであるが、これによれば本宗に於て、説教講演等の演壇にのぼる講師の持っているのは、おおむね蓮華形、法要の際に用いているのは瓶鎮形ということになる。
但し、法要の際に荘厳具の少ない平柄香炉を持つということは、あくまでも華籠など他の法具と共に扱う上で便利であるとの理由によるもので、絶対にこれを用いねばならぬというものではない。
《『図説仏教語大辞典』「柄香炉」の項》